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Absent in the Spring [その他]

先日、BSでアガサ・クリスティの小説を読み解く・・・といった番組を目にして、「春にして君を離れ」という作品の題名が頭の端に残ってしまい、ついに文庫本を購入した。
 原題は、”Absent in the Spring" アガサ最後の小説だそうである。


 子育ても一段落したJoanという女性が、娘のところから夫のもとへ帰る途中、砂漠の中で列車のアクシデントにより、何日間かうらぶれた簡易宿泊所で一人で待つことになった。突然できたこの手持ち無沙汰な内省の時間の中で、その前の旧友との偶然の出会いを糸口に、今まで完璧な主婦、妻、三児の母であり続けたという彼女の自己満足の足元が砂のように崩れ落ちていく。そして夫に謝罪し、変わろうと思いながら夫のもとに帰る。


しかし、結局、彼女は、それほど簡単に夫に謝罪することも、当然ながら変わることもできなかった。

夫は、彼女に少し以前と違う感じは覚えるものの、やはり本質は変わらないであろう妻に憐憫の情をこめてつぶやく。
「Poor Little Joan, 君はやはり一人ぼっち、だけど君がどうかそのことに気が付きませんように」

Absent in the Spring, 春にぽっかり空いた心の穴。

春は、ちょっと怖い季節。



春にして君を離れ (クリスティー文庫)

春にして君を離れ (クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/04/16
  • メディア: 文庫



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スタービーチ

はじめまして☆
素敵なサイトですね^^応援してますよ♪

by スタービーチ (2010-05-23 10:51) 

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